続・服装は女の"いのち"
伊豆に入ると、あちこちの道端で、"早熟みかん"を売っていた。
10キロのみかん1箱を、1日で、正確には、一夜中で食べてしまうほど、大好物である。
他の看板には、目もくれず、
「みかん狩り」
「みかん、1袋500円」
「みかん、直売します」
「みかん、480円」
「みかん狩り、できます」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
と、みかん関連の文字を読みだす。
人の良さそうなオバちゃんのところで、買い求めた。
早速、食べてみると、新鮮さは十分に味わえるが、少し酸っぱい。
ずいぶん前から、塩っぱさと、酸っぱさの感覚が、麻痺していることを知っている上で、聞いてみると、
「すごく甘くて、おいしいよ」
「ぜんぜん、酸っぱくない」
と、予想通りの答えが返ってくる。
味わって満足したのか、他の看板読みも、復活した。
車窓から、海を充分に堪能した上、山中にハンドルを切る。
若干、秋の気配は感じるものの、紅葉はしていない。
有料道路を避けたため、車の行き来は、少ない。
厚い雲におおわれている気候の中、木々に包まれた道路は薄暗い。
ここにも看板はなく、その静けさと相まって、神秘さを、さらに、かもし出す。
やがて、芦ノ湖に着く。
さすがに、混んでいる。
無料の駐車場には、空きは、なかった。
関所跡と、神社近辺を過ぎると、閑散とし始める。
湖岸を一周していると、
「やはり、太平洋は、波が穏やかだね」
と言う。
すべての海岸は、"太平洋"と"日本海"の2つの分類に、統一されて久しい。
湖も、それらに、吸収されたようである。
裏道にあった公園のトイレに、立ち寄った。
初めての場所であるが、小奇麗だったからである。
地元の人だけが、利用している公園のようだ。
"だれでもトイレ"は、設置されていなかった。
カギを掛けないように言って、各々に別れて入る。
しばらく経っても、出てこない。
誰もいないのを幸いに、入ってみたが、いない。
不覚にも、2か所の出口と思っていたが、3カ所あったのだ。
ちょっとした騒ぎになった。
小一時間後に、"身柄を確保"。
トイレは使わず、すぐに、第3の出口から出たようである。
本人は、いたって平気で、
「"老人会"に、行こうと思った」
である。
朝には、日曜日だからと言って、ドライブに行こうと催促したはずなのに、もう忘れていた。
気を取り直し、帰宅にきりかえる。
自宅近くの店で、秋のセーターを、買った。
家に着いたら、早速、明日の"老人会"に着て行くという。
月曜日も、行く日ではないのだが、行くと決めているようである。
夕食時には、テレビに出てくる人の服装について、述べ始めた。
「秋なのに、半袖なんて、若いって良いわね」
「スカートで、寒くないのかしら」
・・・・・・・・・・・・・・・。
と、服装についての論評を続ける。
今日行ったドライブのこと、三国山近くのキャンプ場で採取した記念の"砂"のことなどは、すでに記憶から消去されていた。
そして、トイレ事件も、記憶から捨て去っていた。
いまの興味は、服装だけのようだ。
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コメント
さっそく拝見しました
亡くなった主人にも見せたかったです
お母様お大事になさってください
投稿: NIKE | 2007年10月17日 (水) 16時07分