≪つづき≫
朝食を済ますと、ドライブの準備をするように言う。
月曜日から土曜日まで、デイサービスに行っている。
疲れるためか、夕食後には、すぐに寝てしまう。
逆に、会話の時間が減っている。
じっくり話しを出来るのが、唯一、ドライブをしている時間だけになってしまったのである。
「なぜ、夜中に騒いだの」
「騒いでないよ」
「夜は、寝ていたよ」
「昨日は、一晩中、うるさかった」
「すーっと、寝ていたよ」
・・・・・・・・・・・・
「昼間に寝ていたから、眠れなかったのでは」
「昼は、起きていたよ」
・・・・・・・・・・。
この件は、いつも噛み合わない件である。
「なぜ、冷蔵庫の中の物を、食べたの」
「食べてないよ」
「冷蔵庫の前が、散らかっていたじゃない」
「知らない」
・・・・・・
「牛乳も、なくなっていた」
「飲んでいない」
「あんなにいっぱい飲んで、寒くなかったの」
「半分しか、入っていなかったよ」
やっと、きっかけがつかめた。
「冷蔵庫の中のものは、絶対に食べてはいない」
と言い張っていたが、
「牛乳は、半分しか入っていなかった」
と認めた。
2パック入っていたのに、もう一つは手付かずだった理由が、封が開けられなかったためだとも、分かった。
これを足掛かりに、ひとつひとつ具体的に解明していった。
一つ一つ、パズルのように疑問が解けてゆく。
"昼"なのに、暗かったので、テレビをつけた。
そこに、"老人会"の同僚がいた。
友達ではなく、"老人会"に来ている人だそうである。
"老人会"の人と、ずーと話しをしていた。
ちゃんと、名前も呼んでくれたから、間違いないそうだ。
そして、3人で、ひな人形を作った。
いつまで待っても、食事が出ない。
"老人会"の人が、食べ物のある場所を教えてくれた。
確かに食べ物はあったが、冷たいものだけだった。
おかしな点だらけなのに、そうだったのかと、なぜか納得である。
ものすごい風はふいているが、快晴の日差しで、車中は暖かい。
真夜中の活動で疲れているのか、助手席で眠っている。
こちらも、眠気が襲ってきた。
パーキングで車を止め、ひと眠りに入った。
何やら、話し声が聞こえて、目が覚める。
話し声は、助手席からであった。
車を揺さ振るように、強風が唸っている。
昨日あった春一番より、強そうな風である。
その"風の音"を相手に、楽しそうに話しをしていた。
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