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ツツジは、ツツジ(2)

 
 田舎には、どの家にもはある。
 わが家にも、小さいけれど、こじんまりとした庭がある。
 その庭には、すでに住みにくくなっているほど古い建物が、セットになっている。
 "昔懐かし"の場面に出てくる"住まい"そのものである。

 縁側から眺めて、左側に門があって、玄関に通じている。
 ちょっとした目隠しのように、南天が柵のように植わっている。
 正面の一番奥、すなわち道路を隔てた塀の前に、松の木がある。
 かつては3本あったが、今は1本しかない。
 道路の拡張のために、松のギリギリまで、塀を内側に移動した。
 根元が固められ、耐えられなくなったのか、2本は枯れてしまった。
 その隣には、寒ツバキがある。

 田舎の真冬には、すべてが、銀一色におおわれる。
 だが、この空間だけは、息吹が聞こえる。
 南天の緑の葉の上部には、真っ赤な実の房が、積った雪の中から顔を出す。
 松も、黒々とした青葉を、絶やすことはない。
 しんしんと積もった雪も、その重みで下がり過ぎた枝から、時々、転がり落ちる。
 樹木なのだが、"動いて"、雪を振り払ったように感じられる。
 存在感を、示しているようだ。
 冬季のヒーローは、やはり"ツバキ"である。
 青々とした葉に彩られ、真っ赤に咲き誇る花は、色が途絶えた世界でも、息吹は絶えていないことを伝える。
 花びらがポタリと落ちることから、「首が落ちる」といって忌み嫌っていた祖父にも、切り取られることはなかった。
 可憐に咲く南天ですら、露払いの役に満足するほど、見事だからだ。

 縁側に近い方の、南天の終りのところに梅の木が1本、対照的な右の位置にもう1本、植えてあった。
 大きな実をつける品種で、その年の最初の収穫物を、プレゼントしてくれる。
 玄関口の梅は、子どものころの大型台風で折れ、老樹であることも加わって、再生できずに枯れた。
 残った1本の梅の木は、今でも十分過ぎるほど実をつける。
 南天の庭側に、モミジがある。
 枝ぶりも良く、立ち姿もなかなかのもので、お気に入りの木である。
 陽が射しこんだ時の透明に透きとおる新緑の葉は、あたかも宝石が輝いたように見える。

 秋になると、様変わりする。
 真っ赤に紅葉し、同じ太陽の光を受けるのだが、燃えさかっているように変貌する。
 この葉が紅の色を失うと、初雪が舞う。
 庭の右端の中ほどに、ナシの木がある。
 食べるためのものではないが、子どものころ、1個を残してすべてを取り去っておいたら、結構おいしかった。
 自家栽培のための畑との境界を、守っているような姿をしている。

 これで、大体の脇役が登場した。
 マルメロの木、山椒の木などまだまだあるが、端役である。
 でも、この庭の主役は、"ツツジ"なのだ。         (続く)
 
 

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