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新学期が始まる

 
 土曜日のデイサービスから帰宅する際に、出迎えをする待ち合わせ場所が、変更になった。
 大幅な編成替えのため、順々に送り届けるルートが、大きく変わるのだそうだ。
 今まで送ってもらっていた車は、大きめのワンボックスカーのようなものであったが、これからはマイクロバスでのグループになる。
 先週、説明を受けた。
 待ち合わせ時刻も、30分遅くなる。
 こちらは、大変ありがたい。

 今までの場所は、エレベーターから出てすぐの、北側の道路わきであった。
 一番近い公道である。
 道幅が狭く、マイクロバスが停車するには、ちよっとスペースが狭いようである。
 新しい待ち合わせ場所は、同じ一方通行の道路ではあるが、両面の交通をしても不思議でないほどの広さがある。
 多少、駐車していても、交通上なんら問題のない広さである。
 この点も、考慮されたのだろう。
 ただ、ちょっと離れているのだ。
 建物の西側に隣接してはいるが、60メートルほどの距離がある。
 住んでいる建物が東西に長く、エレベーターが建物の中央にあるからである。

 迎えに出る。
 マイクロバスが、定刻通りにやってくる。
 プロなのだろうが、いつも"感心"である。
 同乗している顔見知りの職員がサポートして、引き渡してくれる。

 この2、3日、風が強く吹き続いている。
 あいにく、変更になって始めての日に、ぶつかった。
 建物と建物の間に、十分な公園を設けてあるが、それでも"ビル風"はキツイ。
 強風がまともに当たり、足もとがあやしくなる。
 右に左に方向を変えて、頼りなく歩いている。
 でも、転びそうな雰囲気ではない。
 苦労しているというよりは、楽しんでいる。
 "子ども"が、風と戯れているようだ。
 多少と言うより、十分すぎるほど年をとってはいるが、背が丸まってきたせいで、背丈は子どもに近い。
 わずかな一時の遊びも、ほどなく終わり、エレベーターに乗り込む。

「今日の車に乗っていた人は、知らない人だらけ」
 着替えながら、話し始める。

 先週あたりから、帰宅すると、
「今日、新しい人が入ってきた」
「変な人だった」

と、繰り返していた。
 次の日も、
「今日も、大勢、新しい人が来ていた」
「変な人ばかりで、ご飯を食べると寝ている人もいた」
「男の人で、こわい人もいた」

など、毎日のように、似たような話しをしていた。

 4月になって、新しいメンバーが、ずいぶん入って来たのだろう。
 こちらの"老人会"でも、"新学期"を迎えたようである。
 
 

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