連休は、あっという間
テレビのトピックスで、3連休が報じられている。
紅葉が見ごろを迎えているとか、秋の収穫祭りで大にぎわいだとか、果物狩りでの微笑ましい親子連れなど様々な笑顔を伝えている。
説明しているアナウンサーは、少し前に株価大暴落で企業の大幅な減益など、不景気感をあおるニュースを話していた。
対象的なシーンが同居していて、不思議な気持ちがする。
土曜日も、デイサービスに行くようになって久しい。
よって、わが家に3連休はない。
土曜日は、送ってくれた職員たちに、いつもより長く別れの挨拶をおこない、喜々として帰ってきた。
翌日、わが家の2連休の初日を迎えた。
日曜日の朝食後には、
「今日は、老人会に行けないのだ」
と思った瞬間、寝室に消えた。
最近のパターンである。
最初のころは、起きているように促していたものだが、"いたちごっこ"のようになってしまう。
布団がなければ寝ないだろうと考え、物干しに干してみたが、無駄であった。 掛け布団を敷いて寝ていたこともあったし、両方干すと、夏布団や毛布を敷いて寝てしまう。
何せ、こちらよりも相手は、人生経験が豊富なのである。
勝ち目など、あろうはずもない。
最近では面倒になり、流れに任せている。
昼食と夕食の時に顔を合わせるだけで、一日が過ぎた。
文化の日の朝が、やってきた。
祭日とはいえ、代わり映えのしない朝である。
数回の声かけで、無言のまま起きてきた。
座ると同時に、エプロンをかけ、食事を待っている。
食事の準備をしている後ろで、不可解なことをつぶやいている。
「今日は、雨だね」
「どしゃ降りだよ」
振り返ってみると、テレビの画面の中は、どしゃ降りだった。
以前に起きた災害の映像を流しているようだ。
ベランダからは、強いとまでは言えないが、薄日が射していた。
食事を終えるころ、
「今日は、良い天気だね」
「美味しそうなリンゴだね」
昨日の行楽地の賑わいを放映している。
半年くらい前の、
「今日は、良い天気だね」
は、ドライブに出かけようと催促する謎かけであった。
今日の言葉には、その意味合いはなさそうである。
天気は、まずまずである。
大好きな海辺に夏場の混雑は、もうあるまい。
「ドライブに行く?」
「行く」
決まった。
「どこに行く?」
「海」
「太平洋?、日本海?」
「日本海」
穏やかな海は太平洋、波のある海が日本海なのである。
波が見たくなったのだ、
トイレも済ませた。
紙おむつも交換した。
波のある日本海を目指して、太平洋に向かった。
湾は歩いてもいけるが、日本有数の海辺にも、高速道路を乗り継げば小一時間で着ける。
いつもより出発の時刻が遅いので、ガラガラというほどでもないが、スイスイ走れる。
着いた。
窓を開ける。
車内より冷えた空気が入ってくる。
冷たいほどではない。
ふと、臭いがする。
"お漏らし"をしたようだ。
トイレに行ってから出かけたはずなのに、想定外である。
数枚の紙おむつを積み込み、"小"の対策は完璧だったのに、着替えは持って来なかった。
海辺の砂浜に別れを告げ、ハンドルを自宅の方に向けた。


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