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ハイキングに遊びが加わる

 
 最近のトイレハイキングは、情景が変わった。
 1、2分毎に1時間半ほどの"長距離ハイキング"は影を潜め、
10分位の間隔を開けることが多くなった。
 寄る年波には勝てなくなった、と思いたいが、加齢による体力低下などは、微塵もない。
 何かが変わったのだが、その理由を推測できないでいる。

 思い当たるとすれば、7か月ぶりに抽選に当たって出かけたショートステイであろうか。
 希望というかお願いとして、2つを伝えた。
 1つ目は、適時に声をかけてもらって、できるだけ自分でトイレに行くようにしてほしい。
 もう1つは、昼の間には寝ないよう注意してほしい。
 この2つである。
 個室なので、いつでも好きな時に、自由に寝れるからである。

 帰宅する時の説明では、初日に7回もの"お漏らし"の介助をしたが、声かけを実施した結果、徐々に減ってきたという。
 最終日の日誌にも、4回と記入されている。
 トイレの介助ではなく、"お漏らし"なのである。
 半減したと評価することもできようが、効果は疑わしいと思いつつも、口には出さなかった。

 思い起こせば、トイレの中に、トイレットペーパーの"雪山"ができたのも、ショートステイから帰ってからである。
 1晩で消費されるトイレットペーパーも、格段に増えた。

 今晩こそ確認しようと思っていたところ、案の定、始まった。
 こちらの部屋のドアを少し開け、覗いてみる。
 トイレのドアは閉まっているので、中の様子は分からない。
 ただ、トイレットペーパーの回転する軽快な音が響いている。
 コロコロコロと、まだ続いている。
 やがて、水が流れる音とともに出てきた。
 こちらは、暗闇の中の隙間から見ている。
 気付いてはいない。

 10数回も続いただろうか、今度はドアが半開きになっていて、うかがい知ることが出来る。
 便座の前に腰を下ろし、慣れた手つきで、トイレットペーパーを両手に巻き取っている。
 糸を紡いでいる姿だ。
 巻き取った量に満足したのか、投げ捨て、水を流して出てきた。
 "本来の目的"のために、やって来たのではなかった。
 パジャマをおろす行動は、まったく見られなかった。
 出て行こうと思ったが、やめた。
 今までの行動パターンから推定すると、もう終わる頃である。

 もう1回、儀式が行われて、今夜のハイキングは終わった。

 しばらくして、トイレに入ってみた。
 トイレの中には、"雪山"はできていなかった。
 ちゃんと流されていた。
 新しい遊びにつきあわされ、身が細りきったトイレットペーパーの芯が、3個、寂しそうに転がっているだけだった。
 
 

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