愛読書の暦も消えている
早くも、師走に入っている。
昔と違って、正月を迎える準備が特別あるわけではないが、きっかけとして大掃除はしようと思っていたところ、本棚の片隅に、神宮館暦を見つけた。
控え目にあるためか、意識していなかった。
神宮館開運暦、神宮宝暦、神宮館運勢暦、いろいろな種類が並んでいる。
今年の分はなく、その前の年までの9冊がある。
呼び寄せてから、10年もの月日が経つのだ。
この10年は、あっという間だった。
時の過ぎるのは、歳を重ねるほど早くなるようだ。
子どもの頃は、何事にも運勢暦を開いていたと記憶している。
自分の分だけでなく、家族の分も見ていた。
信じていたというより、活用していたという雰囲気であった。
良いことが記載されていれば、素直に喜ぶ。
良くなければ、その点を注意して一日を過ごす。
「人には優しく」、「軽率な行動はしない」、「争いは避ける」、「万事控え目に」、「相手への思いやりを大切に」、「多忙な時ほど慎重に」などなどである。
占いというより、何人にも当てはまる行動指針であろう。
田舎には田舎の暦があったように記憶している。
その頃の暦が、どこで発行していたものかは記憶していないが、いま棚に並んでいるのは神宮館運勢暦である。
今年の分はない。
その前の年には、まったく手に取ろうとしなかった。
欲しいとも要求されなかったので、購入しなかった。
前の前の年の暦を取り出してみると、半分あたりまでしか、開いた形跡がない。
今から思うと、2年半前からずいぶん認知症が進んでおり、人生の大半を友にしてきた行動すら奪ってしまっていたようだ。
当時は気付きもしなかったし、想像もしていなかった。
さらに、その前の年の暦を取り出してみる。
使い古された懐かしい暦である。
温もりが感じられ、今でも元気だった頃の痕跡が残っている。
何やら、運気のないことが書いてあったのだろう日には、
「車には気を付けなさいよ」
「寄り道しないで、学校からまっすぐ帰ってくるんだよ」
などの一言を背に受けて、学校に向かったものだ。
40年ほどの歳月が流れ、現在の住まいに呼び寄せた当時も、
「車には気を付けなさいよ」
「お付き合いがあっても、あまり飲み過ぎない様にしなさいよ」
とあまり変わってはいなかった。
いつしか、夢の世界の中に消えた。
そうだ、今年は買ってこよう。
来年からは、こちらから伝えてあげよう。


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