初ドライブの日7(急いで帰ろう)
さらに、南下する。
花が、あちこちに姿を見せ始めた。
赤色、黄色、ピンク、紫、色とりどりの花が、沿道の周りの畑に咲き乱れている。
ビニールハウスもちらほらあるが、何の被いもない畑にも、いろどり豊かな花が負けじと咲き誇っている。
まもなく道路に沿って植えられた赤い花が、見渡す限りの道路沿いに出迎える。
「きれいだねー」
もう少しで、春と出会える。
目的の、黄色にひかり輝く"菜の花"、とだ。
突然、臭って来た。
汐の香りでもなければ、花の芳しい匂いではない。
"お漏らし"したのだ。
それも、"小"ではなく、"大"だ。
"大"だからコンビニでのおむつ交換は、申し訳ない。
かと言って、道の駅や、大きなスーパーなど近くにはない。
仕方がない。
帰路に、ハンドルを切る。
南下し過ぎたから、自動車道にも、しばらく時がかかる。
窓を開ける。
冷気が、遠慮なく入ってくる。
寒さを取るか、臭いを避けるか、判断に苦しみながら先を急ぐ。
自動車道の入口に着く。
アクセルを踏み込み、第一目的地に向かうが、寒さが増す。
紙おむつの、交換を終えた。
強烈な鼻を突く攻撃は消えたものの、臭いとの小競り合いは続いている。
さすがに風呂までは付いていないので、仕方がない。
寒さと臭いの調整を取りながら、車を進める。
子供の頃の田舎では汲み取り式トイレは、どこでも当たり前だったし、トイレというより便所という言葉が似合う風景で育った。
その近くでは、常に匂っている。
夏場は、"特に"、であった。
黙っている。
怒りというより、無性に悲しかった。
そして、恥ずかしくなった。
本人の方が、もっと申し訳ないと思っているだろう。
"夢の世界"に現住所を移したといっても、恥をさらす苦しさ、辛さは、いかぱかりか。
臭いを消すために、少し開けたウインドウが風を切る。
ヒューヒューと響く風の音の中に、
「修業は、まだまだ足らんな」
との父の笑い声が聞こえたような気がした。


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