初ドライブの日4(イクラは大好き)
海が見えた。
またたく間に、目的地に到着した。
自動車道の終点から、すぐに砂浜の一つがある。
夏場だけ有料の駐車場には、サーフィンをしに来ている車が10数台見かけるだけで、閑散としている。
舗装された上には、風に飛ばされた砂が、あちこちに様々な模様を描いたまま、捨て置かれている。
混雑したであろう夏のシーズンなど、忘れ去った静けさだ。
砂浜近くに、海に向かって車を止める。
フロントガラスいっぱいに、海が広がる。
そうだ。
初日の出の時にも、この駐車場はぎっしりだったはずだ。
数多くの砂浜が続く海岸沿いは、初日の出の名所で、車が動かないほど、例年、大渋滞に見舞われる。
今は、その騒がしさもない。
ただ、押し寄せる波の音だけが満ちている。
「波があるねー」
「大荒れだね」
「あら、また波が来た」
・・・・・・・・・・・・
海好きは変わっていないようだ。
しばらく、波を眺めることにした。
「何が獲れるのかしら」
「寒くないのかしら」
「いっぱいいるねー」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
サーフィンの連中を、漁業をしている人と思ったようだ。
それにしても、大勢いる。
若い者にとっては、寒さなど感じないほど楽しいのだろう。
最近は、年配者のサーファーも増えてきたと聞くが、顔は見えないから若者としておこう。
サーフィンは、やはり若者が似合う。
昼には早すぎる。
菓子パンを2つに割って、片方を渡す。
「おいしいね、イクラ・パンは」
聞きなれない言葉である。
聞き直してみた。
「このイクラパンは、おいしいね」
間違いなく、イクラ・パンと言っている。
どこにでも売っているコッペパンに、マーガリンとジャムが塗って、はさんでるパンである。
田舎で、"つき合せ"と注文すれば出てくるシロモノである。
田舎ではバターなのだが、こちらではマーガリンのようだ。
イクラとは、似ているわけでもなく、決して近くでもない。
強いていえば、赤い点だけが似ている。
想像力に感心すると同時に、笑いがこみ上げる。
昨年のお歳暮で、イクラが数か所から贈られてきた。
イクラも、大好物の一つである。
刺身を添えたりと、それなりの工夫はしたつもりだが、年末から1日おきにイクラ丼にした。
手抜きをしたつもりはないが、献立に出し過ぎたようである。
赤い食べ物は"イクラ"、と決まった。


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