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初夏の診療帰省

 
 目覚まし音が、聞こえる。
 出発の時刻を知らせる音だ。
 すでに、夜は明けている。

 声をかける。
 いつもなら、数回で起きてくるのだが、今日は反応が鈍い。
 倍以上、繰り返し声をかける。
 寝惚け眼で出てくる。
 すっきりした顔で出てくるはずなのに、いつもと違う。
 "夜のハイキング"が、特別に激しかったとは思えない。
 聞いても答えは無いだろうから、疑問は解決できまい。

 出発時刻も。近づいて来た。
 オムツを交換し、着替えを促す。
 来ている下着の上に、新しい下着を重ね着しようとしたり、パジャマのままズボンをはこうとしたりと、着替えの儀式を、一通りこなす。

 オムツも、積んだ。
 手土産も、積んである。
 昨夜に作った朝食も、持った。 
 診察の予約券も、入っている。
 再確認が終わり、準備は万端となった。
 さあ、出発である。

 単なる出発の時を、迎えただけではない。
 2人だけで過ごせる"時"の始まりでもある。
 会話が激減した昨今では、貴重な時間になった。
 エンジンを音をたてる。
 少しの間をおいて、カーナビ麗人が声をだす。
 しばらく、カーナビ麗人に話しの相手を譲った。

 高速道に入る。
 いつもより30分遅いせいか、車の数が多いような気がする。
 かといって、渋滞の雰囲気などはなく、その恐れも感じさせないほどの台数で、スムーズに進む。

 薄い雲が、空一面、覆っている。
 雨をもたらすような雲ではない。
 純白のカーテンのようで、真横にカーテンのたわみが臨場感を表している。
 触れたら柔らかそうで、絹のような雰囲気がある。
 明るいが眩しくはなく、雨雲の暗さはまったくない。
 やはり、厚手の純白なカーテンのようである。
 これから始まるドラマを、予感させる。

 風がない。
 このような日には、霧に出会う場所がある。
 電光表示板には、そのような注意は表示されていなかった。
 まもなく、その地点に至るが、無用の心配であった。

 空には、やや明るさが減ったものの、相変わらず真っ白がカーテンが覆っている。
 霧に出会わなかった代わりに、車内が臭って来た。
 オムツを交換すべく、次のパーキングに車を向けた。
 
 


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