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果物は果物

 
 食事も済み、食器洗いも終えた。
 デサートの時間である。
 楽しい"老人会"に行く前なので、気分は爽やかなようだ。
 着替えの号令がかかるのを、今か今かと待っている。

 デザートの準備に取り掛かる。
 スイカの季節まで、昔通りの量を出していた。
 ある日、食べ終えると、口から吐き出した。
 デサートと一緒に、コップ一杯の牛乳も添えているので、白と赤が混じったものだった。
 それ以来、小皿に変更し、デサートの量を半分に減らした。

 できた。
 少し前までは、桃が主役であったが、すでにその座を譲っている。
 ここ数日、ブドウと梨の出番である。
 梨を4分の1に切って、皮と種の部分を取り除く。
 2人で分けるから、量は多くない。

 今日も、同じ言葉が発せられるのだろうか。
 食べ始めると、期待を裏切らなかった。
「サクランボは、おいしいね」
「最近のサクランボには、種がないね」

 そして、昔の話しが始まる。
「昔、サクランボの木があったね」
「台風で、倒れてしまって、残念だった」
「昔からの木で、とても甘いサクランボが生ったのに」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 なぜか、ブドウをサクランボと言いながら食べている。
 ブドウだと指摘するのであるが、翌日になると元に戻る。
 毎日、同じことが繰り返される。

 まず、色が違う。
 サクランボは、赤が似合う。
 輸入物類で黒っぽいものも、旬ではない季節に店先で見かけるが、買ったことはない。
 敢えて許される範囲は、黄色がかった品種までである。

 ブドウは、濃紺というか黒である。
 田舎で"甲州ブドウ"と言っている小粒で茶色いものや、薄緑がかって透明感のあるブドウも美味しいが、最近、自ら買うときは、大粒の黒いブドウだけと決めている。

 それなのに、サクランボと言い続けている。
 歳をとると、頑固になるという。
 一度決めたら、変えたくないのだろう。
「小さなことにこだわっては、まだまた」
とでも言っているのだろうか。

 むしゃぶりつくように、食べ終えた。
 口に入れること、噛むこと、飲み込むことの連動は、ますます怪しくなっている。
 両頬が、はちきれている。

 さあ、大好きな"老人会"に出かける時刻になった。
 
 


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