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故郷の柿は忘れない

 
 ブドウが、最後のお目見得を終え、主役の座から降りた。
 何回出しても、
「サクランボは、美味しいね」
「このサクランボは、甘いね」

を貫き通した。
 今年のブドウは、遂にブドウとは認められなかった。

 実りの秋、果物の種類には事欠かないが、デザートの主役を引き継いだ果物は、柿である。
 田舎には、有名な柿がある。
 昔から、天皇家に献上されている。
 今流でいう糖度はすごく高く、他の柿とは比べられないほどの甘さを誇っているのだが、渋柿をさわしているため、日持ちがしない。
 冷たい所に保管していても、1週間も経つと、グニャグニャに柔らかくなってしまう。

 現在の果物は、旬を忘れるほど、1年中、出回っているものが多くなった。
 リンゴなどは、季節を問わず求めることができる。
 当たり前のように、店先に並んでいる。
 その中で、柿だけは、頑固に"旬"を守っている。
 残念ながら、旬の期間が短いので、愛好者が減っているという。
 現代っ子は、いつでも食べられるものだけを好むそうだ。
 "時"が著しく早く流れる現代では、四季折々を楽しむゆとりなどないのだろう。

 もう1週間ほど、ナシやミカンなどを挟む日はあっても、10日ほど柿が続いている。
 自分で皮をむくなど、想像も出来ない。
 皮をむいても、1個、丸ごと出したのでは、おぼつかない。
 8等分して、小皿に盛る。
 だから、柿の姿は微塵もなくなっている。
 爪楊枝を付けるのであるが、せっかくの爪楊枝は使われることなく、手づかみで"召し上がる"。

 だが、毎回、
「柿は、美味しいね」
と、正確に言い当てる。
「○○○柿は、すごく甘いね」
 田舎の銘柄まで、言い当てるのである。

 柿が特別に大好物だったとは記憶していないから、故郷を懐かしんでいるのだろうか。
 田舎に帰りたいのだろうか。
 ふと、好きな言葉が湧いてくる。

 ふるさとは遠くにありて思うもの
 
 


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