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介護認定の更新

 
 18時から打ち合わせがあったが、雑談も含めて、予想していた時刻には終わった。
 デイサービスから帰った時に夕食を食べさせたので、急いで帰る必要もなかったのだが、解散後に"お誘い"はなく、こちらも声をかけなかったため、そのまま帰宅した。

 駅の改札を出て、夜空を見上げると、おぼろ月である。
 ほぼ満月に近い月である。
 都会では、ビルが乱立して、空がとても小さい。
 田舎と違って、意識的に見ようとしないと、空は無い。
 少なくとも、視界からは消えている。
 住まいの前には、大きな公園がある。
 視界は60度ほどではあるが、パノラマのような空がある。
 かすんでいる月を眺めながら、のんびりと歩む。

 100キロあった体重は、ダイエットの効果もあり、ここ6カ月の間に25キロも減った。
 汗かきだった身体も、急激に痩せたためか、寒さを感じる。
 目の前に、あったかい日本酒の自動販売機を見つけた。
 "おいで、おいで"、と手招きをする。
 ポケットから小銭を探し、買い求める。
 ボタンを押したと同時に、ゴトンと辺りにこだまする音をたてながら、コップ型の容器が転がり落ちる。
 温かい。
 寒さを感じる身体に、注ぎ込む。
 まず喉が温まり、程なく身体に火照りを感じる。
 おぼろ月も、心なしか赤みが加わったようだ。

 郵便受けを開ける。
 待っていたものが入っていた。
 介護認定の結果を知らせる郵便物である。
 今回、ずいぶん遅かった。
 ケアマネージャーや、介護センターの職員からも、毎日のように聞かれた。
 その都度、"着いていない"と告げなければならなかった。
 11月からは、新しい認定による月が始まるのだそうだ。
 待ちきれなくなったデイサービス担当が問い合わせたとのことで、前日に処理したとの回答があったから、着いたら持ってきてほしいと言われていた。

 認定の基準が、厳しくなったと聞いている。
 1か月前に、ディサービスを受けている介護センターから、厳しくなるのでと、ある申請書類を渡された。
 判定が現状より軽くなったら、現状のままを依頼する申請書だ。
 だから、おそらく現状のままだろうと思っていた。

 音をたてないように、家に入る。
 自室に入り、着替えを済ませる。
 封を開ける。
 やはり、要介護3は変わっていない。
 周りの人からの情報を当てはめると、要介護4が妥当だろうとは思っていたが、前のままだったようだ。

 シャワーを浴びる。
 少し熱めにしないと、少し寒さを感じる季節になっている。
 何かが違うと、脳裏に違和感を感じた。
 シャワーを早めに終え、自室に戻り、再び通知表を見る。

 目を疑う。
 最近、老眼が進んだ。
 特に、光の弱い場所では見えにくくなっている。
 老眼鏡をかけて、良く見る。
 コンピューター独特の文字の、上部にある縦線が、向かって右から左に移動している。
 「要介護5」の文字が、はっきり見える。

 再度、確かめてみても、「3」ではなく「5」である。
 予想もしない数字だ。
 判定に苦慮したようで、通知が来なかった訳である。

 悲しくなった。
 症状が最も重くなったとの判定を、突き付けられたのだ。
 判定が厳しくなっての、2段階が上がったのだ。
 そして、「要介護5」の上は、無い。

 可哀そうになった。
 夢の世界へ、さらに進んでしまったことへの証明でもある。
 このような2階級特進は、めでたくない。
 ナンバーワンの名誉もいらない。

 先ほど見かけた"おぼろ月"が、目に浮かんできた。
 泣いていたのだ。
 
 


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コメント

すごく面白いブログですねっ!
これからも頑張って下さい!

投稿: 簡単ダイエット | 2009年11月19日 (木) 00時30分

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