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何年かぶりの風邪?(2)

 
 連れてきてくれた2人から端的に様子を聞いたが、要は、"風邪だったら来ないでくれ"ということらしい。
 "本当に困ったら助けてくれないよ"との友人の言葉が浮かぶ。
 他の入所者にうつったら困るから、やむを得ないだろう。
 挨拶もそこそこに、職員たちは帰って行った。

 当初は弱々しい様子だったが、1人で居間に向かっている。
 いつもとは違うものの、ちゃんと歩いている。
 追いかけるが、すでに居間に至る。
 おやつを見つけるや否や、食べ始める。
 制止をして、パジャマに着替えの手伝いをする。

 今では、1人での着替えは、夢のまた夢となった。
 でも、1つ1つ指示を出すと着替えはできる。
 裏返しは少ないものの、前後逆が定番である。
 服の前後は分るようなのだが、前をこちらに向けて着るから、前が背中の方になってしまう。
 見ていないと、やり直しになってしまうので、最後まで付き添うことになる。
 風邪をひいた様子は、感じられない。
 熱もなさそうだ。
 咳もしていない。
 いつもの様子と変わらない雰囲気である。

 着替えも終わり、居間に戻らせる。
 昼食を2、3口しか食べなかったと聞いているから、お腹は空いているだろう。
 夕食の支度は、できている。  
 味噌汁も、まだ冷めきっていないから、すぐに温まった。
 食事を始める。
 ちょっと注意をしていない間に、口いっぱいになっている。
 いつものシチュエーションであることに気付く。

「残すよ」
「いいよ」
「残していい」
「いいよ」
 口いっぱいになると、繰り返される言葉である。
 相手の行動は、手に取るように分かる。
 いっぱいに食べ物を含んでしまっているから、次の食べ物が口の中に入らないだけなのだ。
 こちらの食べるスピードを落として、ゆっくり食べる。
 まもなく、口に入っていたものが、飲み込まれたようだ、
 口の中が無くなると、また食べ始めた。
 また口いっぱいになると、同じ言葉が発せられる。
「残すよ」

 同じことが、数度となく繰り返される。
 やがて、食卓に並べられたおかずは、すっかりなくなった。

 後片付けと、翌朝の準備をしていると、今日の大事件の当事者は、すでに寝室に消えていた。

 まずは、大丈夫のようだ。
 でも、明日は日曜日、医者も休日休診である。
 無事を祈って、1日が終わった。
 
 


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