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お泊りの老人会は好かない

 
 久しぶりのショートステイの終了時刻が迫ってきた。
 迎えに向かう。
 5階のフロアーだけが、ショートステイを引き受ける場所で、それ以外の階は、特別老人ホームである。
 休みの日には、1階の受付けも休みだ。
 今までは、交代で止むなく出勤している風の職員が1人、暇そうにしているだけなのだが、今日は5、6人がいる。
 大勢いたとしても、受付けや案内のところには座っていない。
 何か行事でもあるのだろう。
 パソコンを覗いていて、こちらを気づかう様子もない。

 挨拶はするものの、ただそれだけである。
 平日は、ここで利用料の支払いをするのであるが、休みは5階の係員と、直接、清算をする。
 人が大勢いても、支払いは5階のようだ。
 エレベーターのボタンを押す。
 しばらくすると、ドアが開く。
 乗り込む。

 1度、間違って途中の階のボタンを押したことがある。
 エレベーターが開き、初めて施設内を見てしまったが、雰囲気は心地良いものではなかった。
 いずれはお世話になることになろうが、できるだけ手元で介護しようと、強く決心させるに十分なインパクトがあった。
 間違いないように注意をして、5階のボタンを押す。

 ゆっくりと上昇し、程なく到着する。
 係り員たちが、忙しそうに老人たちの世話に追われている。
 こちらを発見したらしく、ニコニコ顔に変わった。
 職員たちも、気付く。
「○○さん、迎えが来て良かったね」
 答えるより先に、近づいてくる。
 よほど帰りたかったようだ。

 係員の制止を受け、帰り支度をしている間に、清算に入る。
 何かあったかとの問いに、状況を説明してくれる。
 前回の時より、やはり症状が進行しているのを実感する。
 床ずれが出来ているとのことは、意外だった。
 寝たきりでもないし、"真夜中の活動"が激減したわけでもなく、動けることには変わりはないはずだ。
 眠ってしまうと、一晩中、動かないのだろうか。
 ガーゼ付きテープを貼ってくれたとのことである。

 清算も終わり、話しも聞き終わり、引き取る。
「お世話になりました」
「ありがとね」
「さようなら」
 元気いっぱいの声で、お別れのあいさつを発している。
 職員だけでなく、入所している人にも、忘れていない。
 職員の
「また来てね」
「待ってますよー」
の言葉だけには、まったく返事をしない。

 すたすたと、元気よく、エレベーターに向う。
 1人で歩くのが厳しくなったと言っていた職員が、びっくりした顔でお別れをした。
 やはり、"お泊りの老人会"は、好きにはなれないようだ。
 
 


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