« 紙オムツが消えた | トップページ | 何年かぶりの風邪? »

大雪が想いの中で舞う

 
 ベランダから、陽の光が差し込む。
 母には直接当たらないものの、ベランダ近くの位置に平行に座っているこちらには眩しい。
 レースのカーテンを引く。
 昨日までは曇りだったが、今日は天気が良い。
 天気予報によると、しばらく北風が続き、気温は例年より低いままだそうだ。
「天気が良いねー」
 陽が射し込むのを見たためか、元気な声を出した。
 だれに話しかけるのでもなく、独り言のような声が続く。
「昨日は雪だったのに、融けてしまったようだね」

 テレビは、ほとんどが見ているのか見ていないのかうかがい知れない状態なのだが、時おり関心を持つ。
 昨夜の夕食の時、しきりに放映していた。
 12月としては、記録的な降雪なのだそうだ。
 豪雪のニュースには、興味津々のようで、
「大雪だよ」
「あした、雪片しをしなきゃならないよ」
「すごいねー」
「大変だねー」

と、しきりに感心していた。
 珍しく、食事に支障をきたすほどだった。
 結局、積雪のシーンが終わるまで見ていた。

 2人の叔母と電話で話したが、久しぶりの大雪だという。
 離れて住む者にとっては、雪は限りなく美しいが、住む者にとっては戦いである。
 いつ果てるともなく、深々と降り注ぐ雪。
 夜明けとともに、雪を片して、歩ける程の道を確保する。
 昔は、家の前も除雪を担当する範囲だった。
 今では、夜明けと共に、役所が手配している業者が、大きな除雪機で、いっきに片づけてしまう。
 便利な世の中になったものだが、雪国での予算もバカにならないと聞く。

 1晩たっても覚えているとは、よほど印象に残ったのだろう。
 雪国生れで、雪国で育ち、後期高齢者になるまで雪国で人生を歩んできたのだから、当然なのかもしれない。
「寒いねー」
「大雪だから、仕方ないね」

 まだ降っていると言っている。
 "おいおい、今の住まいでは、雪など降っていないよ"、と言いところだが、詮無いこととあきらめる。

 やがて、頭の中の"雪"は、すっかり消えた。
 そして、これから出かける"老人会"で埋め尽くされた。
 
 


« 紙オムツが消えた | トップページ | 何年かぶりの風邪? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/218054/47105219

この記事へのトラックバック一覧です: 大雪が想いの中で舞う:

« 紙オムツが消えた | トップページ | 何年かぶりの風邪? »