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夜中の演奏は身体が冷える(2)

 
 今夜も、"演奏"している音が、かすかに聞こえる。
 ずいぶん前には、ドア越しに何度も注意したが聞き入れられることはなかった。
 床を直接叩いているのではなく、敷布団の上から叩いている。
 時おり、意味不明のうわ言を唱えているが、小さい声である。
 隣家に聞こえるほどの音量ではない。
 階下の住人に迷惑をかけるほどの振動でもなかったから、今までは、なすがままにしていた。
 
 小1時間経った頃、悪いとは思ったが、そーっとふすまを開け、寝室の中を覗く。
 今日の朝、"事件"が起きたからである。
 エアコンは居間にあるが、母の寝室にはない。
 夜半を過ぎるころには、それなりに深々と冷えてくる。
 毎夜の"お漏らし"が日常的になったため、万が一の感電を避けようと電気毛布の使用を止めていた。
 今年の冬は、医者の勧めもあって、湯たんぽを買ってきた。
 石油ストーブ、電気ストーブなどは、危険すぎて使えない。
 急きょ、今夜から電気毛布を引っ張りだし、セットした。
 "凍死"より"感電"を選んだ。
 説明書を読むと、日常の防水の加工はされているようだ。

 すでに室内の気温は、寒さを感じるほどまで冷えている。
 常夜灯のぼんやりした光の中に、主役が浮き上がって見える。
 やはり、布団から両手を出している。
 交互に上下し、パタパタと叩いている。
 単純ではあるが、すごくリズミカルである。
 音楽の素養があるとは、ついぞ知らなかった。

 よく観察する。
 両腕を駆使しているから、胸から上が剥き出しになっている。
 運動をしているといっても、 一晩中、両腕を布団の中から出していれば、身体は冷え切ってしまうはずである。
 寒くなってから、朝起きるようにいっても、なかなか出なくなった理由がわかった。

 大きく動いた。
 両手を布団の中に入れた。
 演奏は続くが、掛け布団はしっかりとかかっている。
 大丈夫のようだ。

 翌朝、元気に起きてきた。
 取り敢えずの問題は、解決したようだ。
 今夜も、暖かいステージで演奏会が繰り返されるだろう。
 
 


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