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大寒には甘酒が似合う

 
 今日は、大寒。
 早いもので、1月も3分の1が過ぎた。
 大寒とは、立春までの期間を示すとも聞いているが、やはり"1番寒い日"のことだろう。
 昨日と打って変わって、暖かい。
 天気予報では、4月の陽気だという。
 明日まで春の訪れの気温が続くが、あさってからは、また冬に逆戻りするそうだ。

 子供のころ、大寒の日は、嫌いだった。
 日の出前の暗いうちに起こされ、ポンプで水を汲む。
 すでに水道は引かれていたのだが、なぜかポンプを使う。
 大寒の日には、嫡子が新しい水を汲むという慣習があった。
 理由は知らない。

 幼きころから、剣道をやらされた。
 祖父のせいである。
 武士道がどうの、生きる道とはどうの、子供の頭では何のことやら、さっぱり理解できなかった。
 大寒の日には、必ず寒稽古があった。
 お城の中に設けられた道場に、無条件に行かされる。
 当時の田舎は雪が多く、とても寒かった。
 すべての扉は開けられ、寒稽古が始まる。
 いくら運動をしようと、寒さに唇は凍り、手足は冷え切った。
 早生れのため身長が小さかったからなのか、子供用がなかったのか覚えていないが、竹刀も重かった。
 帰りには、ずるずる地べたを引きずりながら、家路につく。
 毛糸で編んだ手袋では、寒風を防げない。
 冬場は霜焼けが当たり前、とても痒かった。

 家に帰った時の、唯一の楽しみは、甘酒である。
 掘りゴタツはあったのだが、封がしたままで、豆炭を入れた移動できるコタツを使っていた。
 その中に、布で包まれた炊いた米と麹が入っており、翌日か翌々日には甘酒が出来る。
 とても美味しかった。
 若かった母が出してくれる甘酒には、甘さだけでない、えも言われぬ暖かさがあった。
 寒稽古は小学校へ入学する前に、祖父の死去で解放された。

 そうだ、1パック残っている。
 正月用として買い求めた甘酒が、残っている。
 早速、書かれているレシピ通りに水を加え、加熱する。
 出来あがった。
 便利な世の中である。
 熱さを感じることも、おぼつかなくなっている。
 このままでは、口の中がヤケドをしてしまうだろう。
 すぐには出せない。
 しばし、冷めるのを待つ。

「美味しいね」
 今の時代でも、大寒の日には甘酒が似合う。
 
 


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