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初雪が積もった

 
 徐々に日も長くなり、起床する時刻には、陽も高くなった。
 昨夜、雨から"みぞれ"へ、そして雪に変わっていた。
 楽しみの気持ちを込めて、カーテンを引く。
 予想を裏切らない程度の銀世界"もどき"が、目に入ってきた。
 公園の芝生の上は、真白である。
 都会の積雪には珍しく、一面に積もっている。
 この冬の、初めての積雪である。

 昨年末から、田舎は記録的な大雪に見舞われている。
 "田舎は今日も雪"とのニュースは、毎日のように流れている。
 かかってくる電話も、だれかれを問わず、大雪になっている様子が、まず挨拶代わりに交わされる。
「大雪だから、車では帰ってこないで」
「雪が解けて、春になってから帰っておいで」
 叔父叔母との会話には、暖かさがこもっていて、心が和む。

 田舎の状況から、いずれは積雪があるだろうと思っていた。
 テレビは、どのチャンネルも雪のニュースを映している。
 都会での積雪は、交通などへの影響が多いからだろう。
 田舎の雪の日は、どんよりとした空と地面が同化して、白より少し灰色がかった色一色に包まれる。
 そして、いつ終わるともなく吹雪く。

 こちらは、すでに陽が射している。
 長い着替えが日課となってから、居間は少し暑すぎると思えるほど、温度を上げている。
 前に、長い長い着替えの最中、鼻水を垂らしていた。
 あわてて温度を上げた。
 それ以来、居間に出てくる時刻にちょうど良い温度になる様に設定してあるから、寒さを感じることはない。
 居間の気温が高くなっているし、ベランダから外を見ることもしなくなったから、積雪は知るはずもない。
 陽が射しているのを見たためか、
「今日は、天気が良いね」
 口癖となっている言葉が発せられ、今日も1日が始まった。

 デイサービスに出かける時刻となった。
 まるで、着せ替え人形のような工程を経て、準備は終了する。
 玄関のドアを開けると、思っている程の寒さではない。
 エレベーターのドアが開き、1階のフロアに出る。
 フロアの自動ドアが開く。
 コンクリートの上には、積雪の面影はある。
 融けてしまいそうなのだが、多少は残っている。
 万が一の転倒を考え、手を取る。
 そろりそろりと歩こうとするが、いつもの通りパタパタと音を出しながら、スタスタ歩いている。
 長年に培った雪道での歩き方は、忘れていないようだ。

 車の上には、しっかりとした雪が残っていた。
 なるほど、数年ぶりの降雪ある。
 しっかりした量が、積もっている。
 フロントガラスの雪を、取り除く。
 田舎のとは、明らかに違う。
 凍っていない。
 簡単に、振り落とすことが出来た。

 ご主人様は感激などせず、いつもの通り助手席に乗り込む。
「寒いね」
との問いかけには、
「寒いね」
の返事は返ってきたものの、積雪に関しては一切なかった。
 田舎育ちには、この程度の積雪では、話しの種にもならないほとだし、当たり前なのだろう。
 積雪より、"老人会"のことで、頭がいっぱいのようだ。
 
 


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