道のりは長い

 連休の最中、田舎に行ったり来たりしたが、休み中は医者も休みなので、再び診療のため帰省する。
 代々の主治医は、休みであろうと押しかければ何とかなるが、大病院のメンタルケアは、どうにもならない。
 いつもの時刻に出発する。
 今の季節、すでに夜は明けている。
 月日は留まることなく、着実に進んでいるようだ。
 自動車道に入る1キロほど手前は、真東に向かう。
 一直線の道路の先には建物は見えず、都会には珍しい見晴らしの良い空間が、先の先まで確保されている。
 その終点に真っ赤な太陽が、いつにない大きさで輝いている。
 天気は良いのだが、湿気でもあるのか、雄大な容姿である。
 多少、天地が縮まり、左右に広がった楕円をしており、上部がオレンジ色に輝き、下がるにつけ深紅に色づいていて、重心がすわってどっしりしている。
「きれいだねー」
「大きいねー」
・・・・・・・・・・・
 助手席からも、感嘆の声があがる。
 つかの間の出会いの後、車は北を向いた。

 選挙目当ての政治判断とかで、首都圏を除く料金が最大1千円になり、すごく混んだ自動車道も、いつもの交通量に戻っている。
 料金が安くなるのに異論はないが、混むのは困る。
 良いことがあれば、同時に悪い面も現れるのが世の常。
 先日に渋滞に捕まった時、"まさに、その通り"と実感した。

 快調に進む。
 行ったり来たりで、今の季節の風景は、充分に楽しみ済みだ。
 今回は途中でおりず、一気に向かっている。
 行程の3分の2は、あっという間に過ぎた。
 本道に別れを告げ、ジャンクションを通って、田舎に通じている自動車道に入る。
 車の数が、激減する。
 山々の形は、もう田舎だ。

 助手席は、本当の夢の世界にいる。
 背もたれにもたれ、上を向いて口を半分あけ、気持ちよさそうに寝ている姿は、車の振動を楽しんでいるようにも見える。
 食事も着いてからとることにして、菓子を食べただけである。
 今日は、無事に到着できると期待した。

 まもなく、こちらの夢は打ち砕かれた。
 異臭が、いっきに車中に漂う。
 やはり、"ダメ"だった。

 窓を開け、サービスエリアに向かった。
 
 

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【休題】英話が楽しそうになる本

 
 読書は好きであるが、最近、面白いものに、なかなか出会えない。逆に、めぐり合えた時の感激は、前より強くなった。

 英話が、楽しそうになる本を見つけた。

 「多聴」なるものの説明が、最初のページから相当なページを割いて記載されており、次いで、英文の少ない美しいイラストが続き、抵抗感がなく、そこまでを一気に読んでしまった。。
 そして、なるほどと、心ひかれてしまった。

 ☆多聴多読マガジン vol.5
   発行 コスモピア

●第一特集は「多聴」入門●
どうしても英語が聞き取れないと悩んでいる人は、「英語の音」がまだまだ身体に不足しているのかも。「英語の音」を身体にためる には「多聴」がいちばんです。1音1語、100%正確に聞き取ろう と必死になっていた姿勢から大転換。聞こえないところは無視して、 楽しく英語を聞く「多聴」の始め方を特集します。(コスモピアのホームページより)

 英語の習得には、何回チャレンジしただろうか。
 海外に行くたびに、今度こそはと挑戦するが、いつも、夢は叶わない。
 原因は、「多聴」しなかったためのようだ。
 そもそも、幼児は、文字を見て覚えるのではない。
 母の声だけで、音としての言葉を覚えるのだ。
 
 中学生程度の単語で十分とは、前々から言われている。
 ハリーポットに出ている単語の85%が、中学校と高校1年で習う単語と、分析結果が載っている。
 残りの15%を知らなくとも、前後の意味合いから、何となく概念的な類推はできるだろう。
 これも、ありがたい情報で、勇気づけられる。
 本の重さも軽く、大きさも手ごろだ。

 奥付を見ると、編集人・発行人が女性の名になっている。
 だから、誌面全体が温かさに包まれているのだ。
 自社サイトにアマゾンの売れ筋トップになったと記載されているのと併せて、納得である。
 強いて難点を言えば、中年と言うか老年にとっては、文字をもう少し大きくしてもらいたかった。

 英会話の本にCDが付くのは当たり前のようであるが、この雑誌にも付いていた。
 何となく、得をしたような気にもなった。
 おすすめの一冊である。
 
 

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【休題】考えさせられる本

 
 考えさせられる本を見つけた。

 ☆介護の「質」に挑む人びと(ISBN 978-4-8058-2845-8)
   著者 加藤 仁
   発行 中央法規出版

 まだ何もわかっていない介護のビギナーであるが、はじめの"おむつはずし"にひかれ、一気に読んでしまった。
 "新しい扉をひらいた二十八人"のサブタイトルの通り、いろいろなチャレンジの成果を紹介していて、かつ読みやすい。

 ユニットケア、認知症ケア、地域密着、小規模多機能・・はどのようにして生まれたのか? 介護の「質」にこだわり、新たなケアを模索し続けてきた介護現場の実践者たちにフォーカスをあてた介護ルポルタージュ。「おはよう21」連載「介護世界のパイオニアたち」の単行本化。(中央法規出版ホームページより)

 そもそも、介護の専門家にヒントを与える本のようだが、介護に少しでも興味のある人は、読んでいて面白い思う。
 ただ、介護専門職向けの雑誌に連載されていたものを単行本にしたとの事、成功事例を総花的に表現されている点は、否めない。

 新しい介護の世界は黎明期なのか、紹介されている手法が多岐にわたっていて、興味深い。
 多くの人々が、介護の"質"の向上に努力していることを知って安心すると同時に、ふと不安も感じた。
 紹介されていない大半の施設は、大丈夫なのか、と。

 現場で介護の任に当たっている方々の情熱には、感動すら受けている。
 しかし、マスコミを騒がしているニュースなどを見ると、当たり前のことが当たり前でない現実、も多いようで、さみしくなってくる。
 運営をする側からすると、介護の精神よりも、ビジネスを優先せざるを得ない状況が、あるのかも知れない。
 いまの環境では、現場での人々の情熱だけでは解決できない、何らかの大きな落とし穴がありそうである。
 ブログ"幻のデイサービス"に書いた心ある青年が退職し、介護とは無関係の職に就くそうだ。
 理由はわからないが、留まるだけの魅力を失ったのだろうか。

 これからは、今までに経験をしたこともなく、世界を見渡しても見つからないほどの、高齢化が進む日本である。
 単なる個々の施設の問題としてではなく、日本全体としての、あるべき介護環境を、真剣に考える時ではないか。

 団塊の世代には、ぜひ、読んでほしい本である。
 
 

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【休題】見つけた、心温まる本

 心温まる、ほのぼのとした本を見つけた。

 ムーン・コテージの猫たち(ISBN 4-327-48149-1)
   著者 マリリン・エドワーズ(松井みどり 訳)
   発行 研究社

 表紙のイラストに魅かれ、手にとった。
 本文中にも、随所に挿絵され、猫の持つ性質をよく表現されている。
 まず、イラストの素晴らしさに感動した。
 著者と並んで、「ピーター・ワーナー 画」と記載されている理由が、うなずける。

 年老いた猫と平和に暮らす家族が1匹の若くて美しい猫を家に迎える。そこから始まる猫と猫、猫と人との交感の日々。猫との生活がもたらす愉しみ、悩み、そして悲しみと希望。猫を飼ったことのある人なら世界中の誰もが知っている、猫のいる暮らしのすばらしさを新鮮な感性で生きいきと描き出す。すべての猫好きに贈る心温まる真実の物語。魅力あふれるイラストを数多く収録。(研究社ホームページから)

 表紙からのイラストから、親子と思っていたが、ネットを通じての"もらい猫"であった。
 イギリスの豊かな自然の中で、2匹の出会いから、家族を含めて強い絆で結ばれていく様子が、単なるペットとしてではなく、家族の一員とした愛情で貫かれている。
 猫好きには、当たり前かもしれないし、一見すると、どこにでもあるストーリーなのに、なぜか、心が温まってしまう魅力は、何なのであろうか。
 ごく当たり前のことにこそ、感動が隠れているのかも知れない。
 万人に可愛がられる要素を持つメスの子猫と、重厚な年老いたオス猫のバランスも、実に良い。

 唯一、安楽死には違和感を感じる。
 異論は別として平均的な日本人は、自分自身に対して安楽死を容認しても、その場の肉親には躊躇し、望まない。
 国民性なのか、宗教の違いなのか。
 特に、この本の中の、決断して病院に依頼するくだり
 すると病院側は、本当にその必要があるのかと聞く。私は少しイライラしながら答えた。「ええ、迷いはありません」
あたりの描写は、外国人特有の合理的な考え方を象徴している、と感じた。

 訳者は、かつて、「菊とバット」を翻訳したと聞く。
 野球を題材とした日本とアメリカの文化を比較した本で、日本にやってくる外国選手が、日本を知るために必ず読んだとされるが、この本も、逆に、外国の猫マニアを理解するには良いのかも。
 近い将来、世界の猫マニア同士が、インターネットで、会話するであろうから。

 いずれにしても、猫を飼っている人なら、猫が好きな人なら、ぜひ、読んで欲しい、素晴らしい本である。
 
 

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【休題】見つけた、のめり込む本

 のめり込んでしまう本を見つけた。

クレイジーボーイズ(ISBN 978-4-04-873787-6)
   著者 楡周平
   発行 角川書店

 中国の経済成長に伴う原油の高騰、トウモロコシの作付け増加に伴う大豆などの価格上昇などが話題になっている。
 それらエコ・エネルギーへの期待に呼応した、水素を利用した自動車の特許をめぐる作品である。

 自動車業界ばかりでなく世界のエネルギー事情さえ一変させる画期的な発明を成し遂げた父が、何者かに謀殺された。特許の継承者である息子の哲治は、絶体絶命の危地に追い込まれる。
 僕は知力の限りを尽くして戦う。
 この世界を勝ち抜くために。
 父が何者かに殺された。サンフランシスコの海岸で無惨な姿で発見されたのだ。父は、水素自動車を普及させるための画期的な燃料タンクを開発し、その特許の帰属を巡って、かつて勤務していた日本の会社と法廷で争っていた。特許権が父に帰属すると認定されれば、継承者の哲治には莫大な金が転がり込む。悲しみを振り払い、哲治は真相解明に乗り出してゆく。だが、事件の背景には日米を股にかけた巨大な黒い影が蠢いていた。時代の先端を疾走するエンタテインメント巨編。(角川書店ホームページから)

 時代を先取りした唸るような着目点は、いまだ健在である。
 読者に、ノンフィクションか と見間違うほどの、迫力ある文章は、まったく衰えていない。

 ずいぶん前ではあるが、処女作「Cの福音」出会った時の衝撃は、今でも、鮮明に脳に焼き付いていて、離れない。
 ぜひ、読んでもらいたい作品である。

 これから施行される陪審員制度を先取りした「陪審法廷」から、タッチに心温かさが加わったように感じる。
 著者の家庭環境でも充実してきたのか、作風に、円熟味を増してきた。
 この作品も、真実を求めるよりも、検察側はあらゆる手段を使って有罪を主張し、弁護側も、無罪を勝ち取るために手段を選ばない、言いえぬ矛盾との恐怖を感じさせる逸品である。
 こちらも、目を通したい作品である。
 
 

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【休題】見つけた、ユニークな本

 ユニークな本を見つけた。

☆東京鉄塔 (ISBN 978-4-426-10229-6)
   著者 サルマルヒデキ
   発行 自由国民社

 東京23区とつながっている送電線を支えている鉄塔を、紹介している本である。
 今まで、鉄塔を題材にした一般向けのものは無かったと思う。

 実在している鉄塔の解説・紹介なのだろうが、どうしても写真集として、夢の詩集として、見えてしまう。
 朝焼け、夕焼け、四季折々、まわりの景色や、いつもの生活の中に溶け込んだアングル、そして、命の息吹が吹き込まれ、著者の愛情が、ヒシヒシと伝わってくる。

 送電線は、線路。
 そして、鉄塔は、駅か。
 ちょっと休憩している"電車"ならぬ"電力"が、見える。

 「鉄塔を見上げれば、そこに東京の空がある」
 純愛に生きた智恵子抄に描かれたロマンも、彷彿とさせる。

 銀の帯にあわせた銀色の見返し。
 装丁にも凝っており、並々ならぬ意気込みに驚かされる。

 「東京23区送電路線図」も最初に記載されているが、テロが叫ばれている今、ちょっと心配な点もある。

 今までは、風景として溶け込んでいた鉄塔が、このすてきな本を読んでから、いやに目に止まってしまう。

 あの本に無かった鉄塔ではないか。
 そういえば、あの本に乗っていた形だ。
 この情景は、○○ページに加えたい。

とか、気になって仕方がない。

 その点では、罪つくりな本でもある。

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